香具師の口上
香具師は「ヤシ」と読む。その昔、野士から転じたものだとか。テキ屋、的屋、街商、大道商人とほぼ同じ。聖徳太子を祖とし、神農を祀る。その口上のほんの一部を紹介。
結構毛だらけ猫灰だらけ。見上げたもんだよ屋根屋のフンドシ。見下げて掘らせる井戸屋の後家さん。上がっちゃいけないお米の相場、下がっちゃ怖いよ柳のお化け。
馬には乗ってみろ人には添ってみろってね。
モノのたとえにもいうだろう。モノの始まりが一なら国の始まりは大和の国。
泥棒の先祖が石川五衛門なら人殺しの第一号が熊坂長範。
巨根(でかいの)の手本が道鏡なら覗きの元祖は出っ歯で知られた池田の亀さん出歯亀さん。
兎を呼んでも花札にならないが、兄さん寄ってらっしゃいよ、くに八つぁんお座敷だよと来りゃァ花街のカブ。
憎まれっ子世に憚る、日光結構東照宮、産で死んだが三島のお千、お千ばかりが女じゃないよ、
四谷赤坂麹町、チャラチャラ流れるお茶の水、粋な姐ちゃん立ち小便、驚き桃の木山椒の木、ブリキに狸に蓄音機、
弱ったことには成田山、ほんに不動の金縛り、捨てる神ありゃ拾わぬ神、月にスッポン提灯じゃ釣がねえ、
買った買ったさァ買った、カッタコト音がするのは若い夫婦のタンスの環だよ。
出典:「香具師口上集」室町京之介,創拓社,1982,p14-15.
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